2022/09/02 09:12



先日の二種類のヒラテテナガエビの件。


「神奈川県立 生命の星・地球博物館」の甲殻類専門の学芸員である佐藤先生に直メールで画像と共に質問してみました。


本日、とてもご丁寧な回答を頂きました。


でね!

その内容の面白い事ったら!!

目からウロコ……いや、手から爪www!?


ボクが今後、テナガエビにますますのめり込むのは間違いない!

こうやって釣りのターゲットの生態や習性が分かってくると、ほんとに釣りが楽しくなる!!

新しい仕掛けやメソッドにも繋がるし、何より「一匹一匹を大切に扱おう」って気持ちになるよね。


下にその回答をコピペするので、皆さんも読んでみて!


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神奈川県立生命の星・地球博物館の佐藤武宏(さとう・たけひろ)と申します。

この度はご連絡いただき光栄です。

〇〇川ではテナガエビ、ミナミテナガエビ、ヒラテテナガエビが生息しておりますが、ヒラテテナガエビと他の2種を混同することはないと思います。

確かにお送りいただいた2枚のお写真を拝見すると、ご指摘の通り、形態に2種類あるのが確認されます。

文献などを調べてみたのですが、明瞭な二型が存在するということは確認できませんでした。

一つ思い当たるのは、自切などによってハサミ(胸脚)を失って再生すると、再生されたハサミ脚は細く、爪も細長く、鋸歯などもなく平滑になる(ことがある)ということが知られており、何度か脱皮と再生を繰り返していくたびに少しずつ本来のかたちに近づいていくというものです。ただしある程度成長した個体だと元に戻る前に寿命に達することもよくあります。

(割りと多くのエビやカニに共通する現象です。少ないリソースで早く再生するために、経済的なやり方というか突貫的なやり方をしている、とよく解釈されています)

たまたま自切して再生した過去を持つ個体なのかもしれません。

あるいは、未知の二型現象を見ているのかもしれませんし、未記載のもの(いわゆる「新種の可能性のある個体」)を見ているのかもしれません。

多分、可能性的には薄いと思いますが……。

釣りを楽しまれているということは(しかもある意味プロフェッショナルでいらっしゃるということは)、沢山の個体をご覧になっているかと思います。


二つのタイプの頻度や、中間の形質のものが存在するかしないか、他の河川でも確認されるかなど、長く観察をしていくと判ってくることがあるかもしれません。

あまり明確なお答えをお返しできず申し訳ありません。


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佐藤武宏(さとう・たけひろ)

神奈川県立生命の星・地球博物館 [https://nh.kanagawa-museum.jp/]

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